都立武蔵文芸部 デジタル部誌サイト

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成長したら帰っておいで!

この前、友達と海釣りに出掛けた。

母が用心に用心をするようにと、ライフジャケットの着用を強要された。
確かに、それがあってよかったかもしれない。

堤防の方が、全然空いてなかったので、磯まで行った。
磯の方では、釣りにいかにも慣れてそうな人もいたが、釣りにとても慣れてそうな人がだいたいだった。
空いているところに座った。
移動中に釣り竿の糸が絡まったり、針がいろんなところに刺さったりと、色んなことがありつつも、その四時間は始まった。
ちなみに、道具はレンタルなので、時間制限があるのだ。

最初のほうは、なかなか釣れなかった。
手応えはあっても、引き上げることはできず、とても苦労した。
そして、近くの釣りが得意そうな大人にも、色々教えてもらった。
そして、友達がやっとこさ釣ったのはカタクチイワシだった。
そんな小さなものでも、とても嬉しがって、はしゃいだ。
それから、その大人に、数メートル先のよく釣れる場所を教えてもらい、そっちへ移った。
すると、一気にカタクチイワシが二匹ほど釣れた。
それから、しばらくやっていると、私の糸はまた絡まり、友達の一人が糸を切ってしまい、一人の釣竿しかできるものが残っていなかった。
それでも、貸しあって、貸しあって、楽しんだ。
そして、最後の方に、あるものが釣れた。
それがなんなのか、私たちはわからなかった。

そして、四時間やった釣りを終わらせ、帰り際、近くの大人にその魚がなんなのかをきいた。
「ああ、それは・・・メジナかな?うん。メジナだと思うよ」
「ありがとうございます!」

メジナかあ・・・
そういえば、メジナって成長すると、すごく大きくなるんだよなー。
そして、食卓にも並ぶことが・・・あるかな?

そして、帰る前に、この魚をどうするか相談した。
レンタルした釣り道具レンタル屋さんで、釣った魚を捌いてもらい、食べることもできる。
でも、時間もなかったので、食べないことにした。

そして、カタクチイワシをまず放流した。
そして、肝心のメジナはというと、
今後の成長が目覚ましいメジナだったので、放流することにした。

「大きくなってね!」
「元気でね」
「成長したら帰っておいで!」

そんなことを言いながら、手を合わせて送った。
いずれこのメジナにまた会えるかな?

そして、レンタル屋さんに戻った。

その後私たちは、近くの観光名所で観光をした。
お土産もたくさん買い、満足して帰った。

*******************

私は、仕事から帰ってきて、家には既に夫がいた。
子供も二人ほどいて、姉弟のきょうだいだ。
玄関の戸を開けて、ただいま、と言う。
すると、釣り好きの夫はなにやら今日釣った魚を捌いているようだった。

「あい、今日はいいのが釣れたぞ!」

正直夫の釣り好きには、呆れるところもあるが―

「何を捌いていんの?気を付けてよ」
「今日はメジナだ。こんなでかいんだ。こっち来てみな!」

え?

メジナ・・・か

そういえば、私たちが高校で初めて友達と釣りに行ったときのメジナは、どうなったかな。
うん。きっと大きく成長して、どこかで一生懸命になっているだろう。
もしかして、このメジナかな?

「どうした?あい?すごいだろ!これ!」
「うん!楽しみね!」
「おお、いきなりなんかすごい嬉しそうになったな。なんかあったか?そんなにこの魚が気に入ったか?」
「ううん、なんでもない。調理はやるから、捌くのよろしくね」
「任せたー!」

そう言って、私は子供たちに顔を見せるついでに、洗濯ををしに行った。

私は、少し清々しい気分になった。


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元号、「令和」が始まった。


私は、令和の間に、成人、進学、就職、結婚、転勤・・・など、さまざまな大きなことをしていく。

その中で、このメジナとともに、私自身も、とても成長して、「令和」の中で、良い人生、生活をしていきたい。

令和が、自分にとっても、そして日本、 そして世界が、あらゆる成長をしていくことを祈る。

元号も、楽しく、頑張っていけたら、幸いだ。

 

 

こんにちは!
「栄啓あい」という者です

今回は随分短かったと思いますが、この話、実話を書いたものです。
ただし、*の後の大人になってからのシーンは、創作です。
ゴールデンウィーク中にしたことを題材としました。
文章が適当なところもありますが、なんとかお見過ごしください。

とても短いエッセイみたいな感じでしたが、小説らしく書いたので、自分の中では気に入ってます。

読んで頂いて本当にありがとうございます。