都立武蔵文芸部 デジタル部誌サイト

都立武蔵文芸部の部誌のデジタルVerです。個々の作品を掲載します。予告なく作品の変更・削除を行う可能性があります。ご了承ください。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2019年度文化祭部誌を発行いたしました。

2019年度、都立武蔵高校での文化祭の部誌を発行いたしましたので、このサイトでも掲載いたします。 作品は 「大きくなったら帰っておいで!」「テセウスの星」 「ひとめぼれ?」「その魂は何処へ行く」「苦楽」 の5つです。 なお、アンケートもありますので…

テセウスの星

生命を作り出せるのは神と人間のみ。昔見た映画はうまく未来を予知していた。 人間とロボットが共存を初めて、二十年が経った。初期のロボットはアニメや映画で見るようなずんぐりとした形だったが、最近のものとなればモデルも腰を抜かすほど魅惑的な歩みを…

苦楽

私は、学校のHRが終わると、こんな噂を聞いた。 このクラスのある女子が、今日、処刑される、と。 私は、理由も聞かずに、ただその人のことが気になった。 身近な人が殺される、というのは、とても苦手で、好きではない。 といっても、私はそのような経験…

ひとめぼれ?

今日もあの子がいる。同じ教室にあの子がいる。 爽やかな風の中、あの子と二人きりでいる。 混雑がひどい電車を降り、改札を降りると、後ろにあの子がいた。 なぜか、できるだけ近づかないようにしてしまう。 近づいたら、好意がばれてしまいそうな気がして…

成長したら帰っておいで!

この前、友達と海釣りに出掛けた。 母が用心に用心をするようにと、ライフジャケットの着用を強要された。 確かに、それがあってよかったかもしれない。 堤防の方が、全然空いてなかったので、磯まで行った。 磯の方では、釣りにいかにも慣れてそうな人もい…

紙飛行機(リニューアルVer.)

「私が退院した時、隣で泣いてくれてありがとう」 彼女が渡した手紙の、その最初の一文を読んで、ひどく胸が打ちつけられるのは、多分僕だけだ。 「おーい佐藤」聞いたことのあるその声に反応して、僕は振り返った。「なんだ、今日も来やがったか」「来やが…

その魂は何処へ行く

「その日が来るまで、ただの普通の人間を演じきること」 彼は、それを忠実に守り続けながら、ある夏の日を迎えた。 隣の芝は青い、という言葉が一番当てはまると感じているのは、まさに今であろう。更に詳しく言うならば、週に二、三回。家の話ではなく、学…