都立武蔵文芸部 デジタル部誌サイト

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テセウスの星

 生命を作り出せるのは神と人間のみ。昔見た映画はうまく未来を予知していた。
 人間とロボットが共存を初めて、二十年が経った。初期のロボットはアニメや映画で見るようなずんぐりとした形だったが、最近のものとなればモデルも腰を抜かすほど魅惑的な歩みを見せることができる。彼らに人権を認めるかどうかが、最近の政治を賑わせていた。

 手瀬は十の少年だった。
 彼はロボットの乳母によって育てられ、ロボットが管理する保育園に入れられた。友達の半分はロボットだった。キリンを模したロボットに乗って遊んでいたら、誤って落下し額に傷を負った。今もその浅黒い痣は残っている。

「へい、こっちこっち」
 手瀬が叫ぶと友達の一人がボールを渡してきた。それを上手く蹴り飛ばす。川の傍の公園。『ロボット立ち入り禁止』の看板を犬型ロボットが首を傾げながら見つめていた。蹴り飛ばしたボールは木の傍を通り抜けていった。それを追いかける数人の友達。
 特に仲のいい友達が一人、傍にやってきた。彼も手瀬も額に汗を浮かばせている。
「なあ、おまえはサッカー教室とか行かねえの」
「なんでさ」
 手瀬は強いられて行うスポーツに好感を抱かなかった。
「いや、おまえだけだよ。行ってねえの。入れよ。コーチにお前のこと紹介したら、よろこんでたぜ」
 そうは言うものの――手瀬はそこで上手く断れるほど人生を重ねていない。ま、考えとくわと呟き背中を向けた。何かの民謡のメロディーが響いている。
 夕暮れの五時には遊びを止め、家に帰るという風習は、百年経っても変わらない。

 手瀬はコンビニで買ったアイスを舐めながら、川の傍を歩いていた。すれ違う車はほとんどが自動運転だった。自動車は年寄りが操る殺人マシーンではない。人や物を運ぶのが仕事だ。ぼうっと見ていると赤い自動車が背後をすり抜けた。角が丸いつるつるした形。
 一度でいいから撫でてみたい――くだらない考えをした途端、背中にどんと衝撃が走った。コンクリートの地面が遠のく。べたりと頬がおろされる。大根おろしみたいに――足に何かが乗って、その重さで潰される感触がした。二度。ぱんと破裂する。痛みよりも衝撃だ。断裂した、潰れた、おろされた、ぐちゃぐちゃになった――陳腐な語彙力では記せないほどの痛み。息を堪える。吐く。肺さえも潰された感覚がした。
 水色の不透明のアイスが地面に落ちていた。落ちた衝撃と地に含まれていた熱で半分ほど形を崩し、まだ崩れていない山に木の棒が立っている。「当たり」の字が彫られている。
 それが幸いなのか不幸なのかは分からなかった。感覚のない足の先から続く赤い道が、ずっと続いている。目が熱い。自分が涙を流していることに気付かない。痛みによる哀しみ?
 人間ですら理解ができない感情を、ロボットが理解できるはずがない。駆け寄ってきたのは、型が古そうな六本腕のロボットと、車が変形した二メートル近くあるロボット。アニメでよく見る変形救急車だ。普段は乗用車だが、有事の際は変形して救急車になる自動車。救急車の有料化を問う声に変な形で答えたから生まれた子だった。それに運ばれるなんて光栄だろうか。明日友達に自慢してやろうか、と子どもらしい思考が最後に溶けて消えた。

 目を開くと見知らぬ天井があった――ありふれた表現だが、それしか思うことがなかった。寝たことがない、真っ白なベッドの上で目が覚める。いつも二段ベッドで寝ているからか、床が近く感じられた。
 鈍い鼻から消毒液の臭いを嗅ぎ取った途端、足の先から痛みが走った。見ると足の甲がなかった。かかとも、くるぶしも、ふくらはぎも――膝の少し下で途切れた両足。つい数時間前までボールを蹴っていた足が、もうなかった。
「まあ、起きたの」
 母親だった。個室の病室に入ってきた彼女の目は赤い。つい一時間前まで泣きはらしていたようにみえた。母親は手瀬の頬を撫で、もう大丈夫よ、と小さく呟いた。
「足、なくなっちゃった」
 そう呟いたことでひどく惨めな気分になった。足を紛失した事実が、暗く、黒く、抗うことができないような、ばけもののように、幼い少年に襲ってきた。鼻を啜り上げる。だが、母親はけろりとした顔でこう言った。
「大丈夫よ、今ねえ、お医者さんが紹介してくれたの。ほら見て」
 母親は辞書のような分厚いカタログを持っていた。それを手にする。表紙にはファッション雑誌のように綺麗な女性が写っていた。帽子を手に微笑む彼女の腕は生身のものではない。ミントグリーンの透明な義腕が日光に照らされ光っている。ぱらぱらとめくると、同じような腕や足が機械の人間が写っていた。
「これねえ、おててや足の代わりになる機械をたくさん紹介しているの。日曜日にやってるキカイレンジャーみたいなのもあるのよ」
 確かに母親が示したページには、手瀬がよく見るアニメのヒーローがつけているような機械の腕があった。年の近い子どもが満面の笑みでヒーローの腕をつけている。真っ赤でシャープな虫のような腕。アニメではそこからロケットが出てきて、悪の怪人をやっつける。
「ぼく、これがいい」
 涙が引っ込み、満面の笑みを浮かべた手瀬が指したのは青い足だった。キカイレンジャーのブルーがつける青い足。下から炎が噴射し、空を光の速さで飛ぶことができる。
 もしかしたら僕も光の速さで飛ぶことができるのだろうか? そうしたら明日友達に自慢してやろう、サッカーボールなんて一瞬で吹っ飛ばすことができる――カタログの端を強く握った。もう足の痛みは遠くの彼方。義足の下に小さく書かれた値段は、いつも行く遊園地を一回我慢するだけで済むような金額だった。

 赤い虫の腕や、光の速さで飛べる足は存在しない。所詮、創作なのだ。
 黒い義足をセットする。隣国で大量生産されている義足。無駄な機能もなく、無駄な塗装もなく、ただ歩行を補佐するだけのものだった。最もレビューの評価が高く、安価なものを選んだ。手瀬は布団の中で背を伸ばす。すると傍に控えていた犬が小さく吠えた。
「おはよう、ポチ」
 一人暮らしを初めてもう三年だ。大学生になった記念に親から送られたロボットの犬に最初は手を焼いたが、今では手瀬の傍で人工餌を頬張っている。
 大昔に存在したコーギーという品種をモデルにしたらしいが、毛の色は草原のように鮮やかな緑色だ。それ以外の行動は犬そっくりに作られている。当然寿命で死ぬことはないため、生身の犬を買う人間はもういない。糞を撒き散らし、時間も考えず吠え、毎日毎日散歩を要求する動物はもう時代遅れ。運動を要求せず、勝手に充電を行い、主人に忠誠を誓うロボットペットは多くの家で普及している。
 ポチの本物そっくりな毛を撫で、彼の首輪にリードをつけた。勝手に逃げていくこともないロボットにリードをつけたり、不要でもある餌をあげたり、手瀬のように散歩を行う人は珍しくない。大昔の人間を真似ることもロボットペットを買う楽しみの一つだ。

「いい天気だな」
 わん、とポチが吠える。手瀬の言葉に反応して答えたのだ。もっと高価な犬は口に出さないような感情に敏感に反応し、豊かな表情筋で応えるそうなのだが、三万円ほどの安価な犬では簡単な言葉に応える程度が限界だった。
 子どもの頃、サッカーをしていた公園の傍を通る。轢かれた場所の近くを通ると流石に疼くものがあったが、公園にはまったく反応は無かった。事故の後も義足で走り回った公園。あの頃と違って子どもはいない。まだ朝だからというのもあるだろう。
 人力車ならぬロボット力車に乗ったサラリーマンとすれ違う。レトロに回帰した彼らのことをルネッサンスなんて呼ぶ人もいた。自分もその一人なのかも知れない、と手瀬はポチのリードを強く引いた。
 公園に向かう階段を下り、ベンチに座った。放置された錆びたスコップを蹴り飛ばす。リードを外してやるとポチは砂場の方に駆けていった。晴れやかな空。雲の奥には戦艦のような影。国連が製造した人工衛星だった。いや、宇宙ホテルだっけ?
 目を凝らすと空に暗い影が映されるようになったのは、百年も前の話。あと五十年もすれば昼も真っ暗なんて意見もある。そうなったら太陽光バッテリーが使えなくなるなぁ、なんて手瀬は吸っていた煙草の煙を吐いた。未成年用のニコチンが少なめのそれ。
 煙と雲に溶けて分からなくなるぐらいになったとき、わん、と吠える声がした。あれ、ポチどこだ、と身体を起こす。見ると砂場よりもずっと向こう、五十メートルほど離れた場所にあるベンチにポチが足をかけていた。その傍には女性の姿。
「ああもう、すみません、すみません・・・・・・!」
 何度もそう呟きながらベンチの下へ駆け寄る。ポチをばっと拾い上げ、ベンチに座る女性に頭を下げた。
「きつく叱っておきます、本当にすみません」
「大丈夫ですよ、ぜんぜん。怪我もしてないですし」
 女性は驚いた様子で首を横に振り、小さく笑った。ロボット犬に人に危害を与えるようなプログラムはない。ポチも温厚な設定のものを選んだし、人を襲うことは考えられなかった。恐らく人影に興味を示したのだろう。主人の慌てようも知らずか、ポチは舌を出して手瀬を見つめていた。
「可愛いワンちゃんですね。コーギーですか」
「ご存じなんですか」
 この時代、コーギーはそれほどメジャーな犬ではなかった。ポチの緑色の毛並みを撫でつつ、女性は言葉を紡ぐ。
「私の父が飼っていたんです。懐かしいな。名前はタロウっていって、とっても渋い子で――」
 コーギーが女性――マユミと繋がるきっかけを作った。午後、町をぶらつく予定だったがそれを取り消し、ずっと彼女と喋っていた。ポチとボール投げをして遊んだ。メールアドレスも交換した。ポチもどこか満足そうだった。明日も、その次の日も。
 マユミの苗字が変わった。手瀬という名に変わった。その頃、手瀬も仕事を見つけ、なけなしの金で小さな家を買った。ポチ用の犬小屋も作った。マユミが飼っていたというタロウに似た、別のコーギーも飼い始めた。ジロウという名をつけた。
 
「おとうさん、ジロウが外出たいんだってー。散歩行っていい?」
 手瀬を呼ぶ声がする。ああ、と生返事をした。手瀬は新しい犬を作っていた。今度は予め作られている犬ではなく、専用のキットで一から作るものを買った。八歳になる息子のケンが決めた犬種に、マユミが決めた毛の色に、手瀬が決めた性格を持つ犬。名前はサブロウにする予定だった。そのサブロウの固い目を毛皮に縫い込んでいるところだったが、針仕事などやったことがない手瀬にはその作業は苦痛だった。
「駄目だ、できない! どうすりゃいいんだよっ」
 机の背後のベッドに転がり込む。真っ赤な毛皮を放り投げ、熊のような唸り声を上げた。それを聞きつけてか、マユミが部屋に入ってきた。初めて会ったときとは随分老けている。それは手瀬も同じだった。あれから、もう二十年も経ったのだから。
「なんでキットなんか買っちゃうのよ。こんな面倒くさいのに」
「ケンの自由研究になると思ったんだ。ほら、今夏休みだろう?」
「とうのご本人はジロウの方が好きみたいね。あらら、手が傷だらけじゃない。治療ロボット連れてくるわね」
 ミシンを使えば目を縫い込むのは一瞬で終わる。だが機械に頼っては達成感がないと考える手瀬にとって、手作業での縫い付けというのは理にかなった選択だった。だがこうも手を煩わされるとは思っておらず、自分の懐古主義なところを猛省する。マユミと出会ったのはその懐古主義によってだが、メリットばかりではないのだ。
 マユミが連れてきた手のひらサイズの治療ロボットによって、細かい傷に絆創膏が巻かれていく。二本しかまともな指がない手を見て、傍のマユミがぽつりと呟いた。
「手ももう寿命なのかもね」
「えぇ?」
 手瀬が素っ頓狂な声を上げる。
「だって、貴方、腕が上がらないって言ってたじゃない。ケンとキャッチボールしたとき、悲鳴あげてたのは誰かしら。そんなボロボロなら、買い換えたらどう?」
 返事も待たず去ったマユミ。彼女が戻ってきたとき、小さなパネルが握られていた。
「ほら見て、オメガ社の義腕カタログ。今こんなに安いんだって。これなんて六千円よ? しかも手術込み。ちょっと高いけど、これはアフターサービスが三年つくらしいわ」
 手瀬が追いつけない速さでページを捲っていくマユミの横顔を見る。彼女の耳も作られたものだった。ピアス用に二つの穴が事前についている耳。揺れる丸い円のピアスを見て、何かを失ったような気がした。
 もうそういう時代なのだ。腕や足に限らず、身体の部位に不調が生まれれば、すぐに買い換えてしまう。あろう事か不調がなくても、自分の好みにあうものにする。耳も、眼球も、歯も。
 その晩のうちにケンとマユミが選んだ義腕は、二日後に届いた。その翌日、手瀬に四十年付き添った腕は失われた。たった三十分の手術だった。
 手術台の上にごろりと転がる腕を見て、手瀬はそれを自分のものだったとは思えなかった。サブロウの制作は前の二倍の速さで進んだ。三日後には、彼は庭で走り回っていた。

「こんちわー、爺ちゃん、来たよ」
 トマトのように真っ赤な髪をツインテールに束ねた少女。甘ったるい声が手瀬の耳に入った。途端に人三人の足音と、何かが羽ばたく音。鳥のような翼を持つ犬がリビングの中を舞った。舞う羽を払い、手瀬はコーヒーカップを置く。
「よく来たね」
「うわ、爺ちゃん、めっちゃ老けとるやん。髪抜けた?」
 思ったままを言う孫のルキコはどさりと向かいのソファーに腰掛けた。そして短いスカートの中からスマホを取り出し、髪を指で巻きながらいじり続ける。それを咎める母の声にははぁいと生返事で応えた。
 しゃかしゃかとワイヤレスイヤホンから音が漏れるほどの大音量で音楽を聴かれると、当然会話は成り立たない。手瀬も孫と会話する気は失せてしまった。代わりに彼女が連れてきた犬を撫でる。
 今の流行は翼がある犬というが、その雌犬は翼にピアスのような飾りが突き刺さっていた。よく見るとその痕が翼のあちらこちらにある。痛みは感じないようプログラムされていても、痛いのではないかと思わざるを得なかった。
 そのピアスの痕を撫でながらぼやく。
「今はこんなもんが流行っとるのかね、マユミ」
 すると正面の孫が手瀬を睨み、ちっと小さく舌打ちをした。聞こえない声で呟く。
「あたしはマユミじゃねえし。ってかもう婆ちゃんはいねえだろ、いい加減現実見ろよ」
 その声は手瀬には届かない。耳もそれほど衰えていた。

「ってかさ、まじうざいんだけど。マユミマユミうるさすぎ。あたしのこと婆ちゃんだと思ってんのかな」
「ママもマユミって言われたわ。何回言っても無駄みたい。ぜんぶお義母さんに見えちゃうのかしら。ねえ貴方、もうお義父さんボケちゃってるんじゃないの」
「――そうみたいだな。もう八十だ。歳だもんな。仕方がない」
「仕方がないって、取っ替えするってこと? 渋谷のとこの婆ちゃんみたいに?」
「そうよ。オメガ社でいいかしら? 予約ならすぐできるらしいけど」
「そうだな。明日にでもするか。どうせ犬と遊んでるだけだろうし」

 ――その翌日、手瀬は死んだ。

「ルキコ、そのボールを取ってくれないか? サブロウと一緒にボール遊びに行こう」
 はぁい、と気の抜けた返事をする。ルキコは翼のある犬に命じてボールを取らせ、祖父に向かって渡した。ぱんと素早い動きでそれをキャッチする祖父。そっくりに再現された禿げた頭。作り出された表情筋で笑顔を貼り付ける。人工知能が作り出した表情は自然なもので、違和感一つなかった。
 限界まで老い、死を迎えるしかない人間の脳から記憶をコピーし、データを人工知能に移し替える技術は十年前から始まっていた。元人間のロボットは町中に溢れている。見た目も人間そっくりだが、足腰は強く補助を必要としない。
 利口な人工知能は、きっちりと故人がとっていたであろう行動を再現する。文句があるような行動は言えば修正され、頑固で生意気な老人は愛嬌のある優しい人へと変わっていた。

「じゃ、ばいばーい、爺ちゃん」
 手を振る祖父の姿。ルキコは車の中で足を組んだ。鏡に映る彼女の目は海の色。二ヶ月前に変えたばかりだった。だが彼女は顔を歪ませ、目玉を抜き取る。バッグから目玉を掴み取り、桃色のそれをはめ直した。二、三瞬きをすれば正常に動き出す。
「ルキコ、車の中で身体を弄るのは止めなさい」
 母親に咎められ、ルキコは唇を尖らせる。
「だって、パパだって身体掃除してんじゃん」
 後ろを振り向くと、胸を開いて人工心臓をブラシで擦る父親――ケンがいた。母親は彼の肩を小さく叩いた。
「貴方、止めて。家でやればいいでしょう」
「いや、このぐらいいいだろう」
 気にも留めない父親に、母親はうんざりと頬杖を突いた。彼女も髪を撫でる。アプリコット色のそれはきしんでいた。
「私も変えようかしら。髪」
 車の中に、人間はいない。全て人間の姿をした、ロボットだった。

 古代の英雄、テセウスの船を後世に残すため人々は修理作業を行った。そうして部品を全て失った船は、元の船と同じと言えるのだろうが――古のパラドックスの一つに、こんなものがある。
 この世界は、この星は、テセウスの船そのものだった。
 人々は部位を機械に入れ替え、その自我さえも機械に移した。自分は人間であると思い込んだ機械は疑問さえも抱かなかった。

 そうして人間はひっそりと絶滅した。ただ、人間はその事実に気付かなかった。

 

 

 こんにちは。どらいのいんです。
 初めての方が多いと思います。こういう非現実的な創作が好きな人間です。よろしくお願いします。
 私が創作を始めた理由は自己主張です。オリジナル、という言葉に非常に拘りを持つ人間です。
 あとがきに何を書けばいいのか悩み始めて一時間経ちました。ぐだぐだ述べる自論も特にありません。
 最近、小説コンクールに投稿するために小説を一本書いたのですが、まあ面白くない作品になりました。
 きちんとしたコンクールなので、人を殺したり人間じゃないひとを出すわけにもいきません。そこで実体験をもとにしたのですが、びっくりするほどつまらない。
 つまらないと思いながら書いた小説って本当につまらないのですよね。気分が乗らずに書いた別の小説を人に見せたら、酷評された経験があります。
 この作品はなかなか楽しみながら書きました。日付が変わってから二時間ずっと書いていたほどなので。楽しめたなら、幸いです。